粕漬

かつて捕鯨基地であった玄海灘海域の佐賀・唐津一帯。その地で明治中期、捕獲したクジラの軟骨を細かく切り、調味した酒かすの中に漬け込んだことから誕生したのが、玄海漬とも呼ばれるこの「粕（かす）漬」だ。その後商業捕鯨が禁止となったが、現在でも日本捕鯨研究所が実施している鯨捕獲調査の副産物を原料として入手。「捕鯨基地の味を守りたい」との思いから、創業以来100年以上変わらぬ製法でつくり続けている。口に含むと酒かすのうま味を生かした独特の風味が広がり、軟骨のコリコリとした食感が楽しい。酒のさかなとしてはもちろん、料理へのアレンジも可能。かつて海軍向けに製造していた歴史が薫るレトロなデザインの缶に詰められた味わいが、日本の歴史と文化の一端を感じさせる。