友禅彫刻 New iPad case
西村友禅彫刻店(京都府)
現代のライフスタイルに溶け込んだ友禅彫刻
伝統技法の新たなる方向性を示すiPad用ケース
日本の代表的な染色技法である友禅染では、幾枚もの型紙を用いて一枚の着物を染め上げる。そこで欠かせないのが、型紙に絵柄を彫り込んでいく友禅彫刻の技法である錐彫(きりぼり)。その伝統の技法を染色以外のシーンにも生かし、現代の生活に溶け込ませようと生み出されたのが、この「友禅彫刻New iPad case」である。さまざまな種類の彫刻刀を用い、牛革製のケースに大小異なるさまざまな大きさの丸い穴を正確に彫り込み、絵柄を表現する。ケースにiPadを入れると、液晶のバックライトによって仁王やヒョウの柄が立体的に浮かび上がる。確かな技術で正確に円形に彫り込んでいるため、引っ張っても穴から革が裂けることもない。伝統技法の新たなる方向性を示すケースである。
受賞者の声
友禅彫刻New iPad caseは、染色型紙を彫る仕事が衰退する中で父の跡を継ぎ、47年間培ってきた技を活かし制作した、日常生活に溶け込む商品です。「伝統の技を世界へ発信」の願いを込め、錐彫技法を駆使して牛革に絵柄を彫ったiPad caseは、液晶画面の光により彫刻した絵柄が浮かび上がります。人々の心に伝統の技の「美しさ」「安らぎ」「楽しみ」を堪能していただけるだけではなく、実用面では革ケースへの出し入れにより液晶画面の汚れを取り除く効果もあります。受賞をきっかけに、一層の精進を重ね、伝統の技を活かした物作りに邁進、友禅彫刻の技が「飯の喰える技」に蘇るよう頑張ります。